息子や娘の才能を見極めず、多額の投資をするのは危険である

息子や娘の才能を見極めず、多額の投資をするのは危険であるということについて、書きます。

今年は綺麗に薔薇がさきました

親子で夢を追う家庭

以前、沖縄にあった芸能スクールに、家族ごと移住して子供を通わせる人がありました。また、スカウトされてドラマなどに出ることになった娘のために、マンションを借りて母親が東京に住む、という方もありました。

職場などでも「息子が東京でバンド活動をしているので、お金を送っている」というお母さん達によく遭遇しました。
パートなどで収入があるので、旦那さんに黙って支援しているみたいです。

息子、すでに30歳過ぎていることが多かったです。

息子や娘が芸術系の大学に行くというと、非常に無理をして進学させる方もいました。
家庭に余裕があればよいのですが、ない場合は本人もアルバイト漬けになって勉強ができません。

オマエには才能がないと言えるか?

そこで自分が悪者になって「あんたには才能がない」と言うことができない親が多いようです。自分の子供ですから一緒に夢を見たい気持ちはわかりますが、長い支払いになるので、すぐに就職でき、資格などが取れる選択について一緒に話し合うことが必要だと思います。
これから何かと厳しくなるようですので、一層だと思います。

お母さんの多くは「私が頑張れば」と思われるようですが、もう少し冷静になって社会が必要とする資格や職業について一緒に考えるのが良いと思います。
家族といえども夢のような話には投資しないのも、家計を安定させる大切な方向だと思います。

これは「絶対にやめておけ」というレベルのことではないかもしれませんが、千円二千円の計算には冷静な人が、子供の可能性ということになると冷静になれない場面をたくさん見てきました。
負担がかかりすぎて家庭不和になっているケースもあります。
教育についても、対費用効果の見当は必要だと思います。

芸術系大学学生の2名のケース

芸術系大学に在学していた女子2名について、それぞれのケースについて書きます。

仮にA子さん、B子さんとします。A子さんもB子さんも、同じ芸術系高校の出身でした。
大学に行くとき、A子さんは京都市立芸術大学に入学し、B子さんは残念ながら芸術系の私学にしか入れませんでした。
どちらも一人娘でしたが、大学進学後の家庭の状況は大きく違っていました。

B子さんは奨学金を借り、自分もお母さんもバイトやパートで学費を支払っていました。
その間にA子さんは余裕で1年休学し、北欧の手工芸が盛んな国に留学しました。
「B子さんも一生懸命なんだから応援してやれよ」、という声もあると思いますが、彼女らの展示を見たとき、才能の差は私のような者でもはっきりと判りました。
また、B子さんを私の知り合いの染色作家さんのアトリエに紹介したのですが、結局そこに行きませんでした。
アルバイトの忙しさもチャンスを失った原因かと思います。

B子さんの頭の中には「同じ高校を出たのに、Aはうまくやりやがって」という意識が常にあったようです。
あまり笑顔を見せませんでした。
一方、A子さんは留学から戻って、就職難にもかかわらずあるテキスタイル会社に就職しました。
親子とも才能というものの有無を認めるのは辛いことかもしれませんが、もしB子さんが看護系の学校などに行っていれば、今頃A子さんより収入が多かったと思います。

子供の夢は応援したいのが親の心理ですが、だんだん日本も貧乏になって、あまり好きなことを長くやると、後の人生のリカバリーが難しくなってきます。
進路についてはよく考えたいところです。